「グウェントフィニティ」として、2024年中にバランス調整に関するコミュニティ投票機能を導入するという発表は、多くの反響を呼びました。喜びの声や不安の声、そしてこの機能がどのように機能することになるのかについて、たくさんの疑問や提案をいただいています。
今回は、現時点でのこの機能の計画とその理由について見ていきたいと思います。私たちは本計画に自信を持っていますが、まだ変更される可能性があります。特に、ここで挙げる数値については微調整が行われる余地があることにご注意ください。
投票機能はゲーム内に統合され、投票対象のパッチが公開されるまでの約1週間の期間、一定の条件を満たすプレイヤーに対して提供されます。参加条件の詳細は未定ですが、ボットアカウントによって投票が操作されることを防ぎ、アクティブなプレイヤーの投票者のみによる投票を実現することを主な目的としています。
投票機能は、デッキビルダーの変種のような形式で導入される予定です。プレイヤーはそこで自分の投票内容を選択し、送信できます。
投票は、構築コストバフ、構築コストデバフ、戦力値バフ、戦力値デバフの4つのグループでそれぞれ3枚ずつカードを選んで行います。構築コストのグループはユニット、アーティファクト、スペシャル、リーダーアビリティを受け付け、戦力値グループはユニットのみを受け付けます。投票できるのはデッキビルダーで使用できるカードのみで、トークンは対象外です。
同じカードを2つのグループで選択することはできません。また、1部分のみの投票はできませんので、プレイヤー1人につき必ず12枚のカードに投票することになります。各グループの中では、1枚目のカードは2枚目よりポイントが高く、2枚目は3枚目よりポイントが高いというようにランク付けされます。
パッチが公開されるまでに、システムが全プレイヤーの投票を集計し、各グループのランキングを決定します。複数のグループのランキングに入ったカードは、最も多くのポイントを獲得したグループでの順位のみが保持され、他のグループでは無効となります。システムは各ランキングの上位15枚、つまり1回のパッチで最大60枚のカードについて、戦力値と構築コストを1ずつ変更します。その後、バランス変更の内容とプレイヤーの投票結果は、自動的に playgwent.com の記事として公開されます。
プレイヤーの人数が変化した場合にも不正な操作を防止して有効な変更を可能にするために、システムにはポイントの最低条件が設定される予定です。これにより、投票するプレイヤーの人数が少なくなればなるほど、変更の量は少なくなる可能性があります。ただし、減りすぎないように、ポイントの最低条件に満たなくてもパッチには最低限の変更が反映されるようにする予定です。これらの条件の正確な数値は、投票機能がスタートして最初の数ヶ月間の状況に基づいて決定します。
機能の設計についてはこの辺にして、このような方法を選んだ背景にある考え方についても説明しなければなりません。まずは、私たちの目標についてお話しします。2023年の後は『グウェント』の開発サポートが終了するため、『グウェント』が全く変化のない環境にならないよう、何らかの形でプレイヤーに期待されるものを提供し続けたいという思いがありました。
そのためには、『グウェント』の、特にプレイ方法やメタゲームの部分が進化と変化を続ける必要があります。そこで、開発者がサポートによってそれを実現できない以上は、プレイヤーの皆さん自身が直接影響を与え、決定することで、『グウェント』が常に進化し続け、新境地を開拓し続けることができるようにしたいと考えたのです。
自らゲームの内容を変化させる力をコミュニティに託すにあたって、大きな問題は、誰がどのように変更を加えるべきか、ということです。開発者の代理として変更を決定し、実行する一般プレイヤーのグループを指名するという方法もありますが、そのプレイヤーの選出方法や彼らが負う責任という問題が残ります。
さらに大きな問題は、開発者がカードの編集作業に使っているツールは社内での業務用に作られたもので、一般の方が安全に手軽に使えるようにするためには私たちが割ける以上のリソースと時間が必要になることです。一般的に、ゲームを改造できる機能を実装するには、特に開発当初にそのような想定がなかった場合は、非常に多くの時間がかかります。特に『グウェント』では、プレイヤーのクライアント側ではなく、中央のサーバーがゲームロジックを動かすという方法で運営されているため、大きな困難が伴います。
これらの理由で、より自動的で民主的なプロセスに頼らざるを得ないのです。しかし、それはそれで、どのように皆さんの意見を確実に変更に反映し、合意を形成するかという問題が持ちあがります。例えば、どのカードの能力を弱くするかなど、変更すべき点について皆さんが合意するのは大変です。
しかも、具体的にどのような変更内容にするのか(例えば、アビリティの調整、変数の変更、戦力値を2下げる、構築コストを1増やすなど)についても合意を得なければなりません。そして、たとえ具体的な変更内容に合意が得られたとしても、ゲーム全体でたった1ヶ所の変更では不十分なので、いくつもの変更に関して同じことを行う必要があります。さらには、これらの変更をプレイヤーの総意を反映した有効なものにするには、十分な投票数が必要です。
投票には様々な方法やプロセスが考えられますが、より正確に投票者の意識を反映できる投票を行おうとすると、複雑なプロセスと、何よりも多くの負担が必要になります。そして、投票者に要求されることが多く、複雑になればなるほど、面倒なので投票する人が減ってしまうのです。皆さんも、長すぎるアンケートに出会った経験があるはずです。ボックスにチェックを入れているうちは我慢できても、文章で回答を求める質問が始まって、面倒で途中でやめてしまったことはありませんか?
私たちが今回提案する投票システムは、投票者のコストと実現可能な変更数の間の最善の妥協点を狙ったものです。変更できる内容を制限することで、より簡単に合意を形成し、コストを下げることができます。
変更できる内容が制限されることに不満が残るのは理解していますが、意見が分かれるのを抑え、より多くのプレイヤーが参加できるようにするためには必要な制限だと考えています。それに、完璧なバランスのゲームを作るという挑戦も魅力的ですが、ゲームの面白さを保つためには、常に新鮮で変化し続けることこそが必要です。
もちろん、バランスがとれている状態は快適で、多様性があるので長続きもしますが、カードゲームにおいては、古臭く感じられてしまうようになるのも時間の問題です。そのため、この機能は有機的で継続的な進化を実現することの方に主眼を置いています。
この点では、12枚のカードとその変更内容を自由に挙げてもらうよりも、グループごとに3枚ずつ選択してもらう方が、投票するコストを小さくできるだけでなく、偏りがなくなるという利点もあります。
例えば3枚のカードの能力を弱めてほしいという強い希望があっても、投票するには他の枠の投票内容も決める必要がありますが、それを理由に投票する気をなくすほど面倒ではないでしょう。それでも、他の枠についても考えて投票してもらうことで、自由に投票してもらうよりも多くの票が集まります。さらに視野を広げるなら、こうした制約があることで、特にUXの面で開発期間を大幅に短縮することができます。
この機能をゲーム内に導入する理由は、他の場所よりもはるかに多くのプレイヤーにリーチでき、より全体の意見を反映した結果に繋がると考えるからです。また、エンゲージメントを高めるツールとしても有効だと考えています。自分の意見を言えることは満足感があり、その意見がゲームに直接影響を与え、可視化されることで、モチベーションの向上に繋がると期待できます。
たとえ1回のパッチにつき1ポイントずつでも、それなりの数の変更を繰り返し行うことで『グウェント』が有機的な進化を続け、何度でも訪れたくなる魅力的なゲーム環境を実現できると、私たちは考えています。
最後の問題は、これらの変更が行われる頻度についてです。これはより包括的なバランスの問題になります。非常にアクティブなプレイヤーは速いペースで新しいコンテンツを遊びたいと希望する一方で、たまにしかプレイしないプレイヤーは「ついていけない」と感じるかもしれません。
現在行っている1ヶ月に1度のパッチ配信が引き続き通常の頻度となる予定ですが、この問題にまだ決まった解答はなく、様々な実験を行いたいと思っています。毎週変更することはありませんが、特に機能が実装されて最初の数ヶ月は、2週間に1度や3週間に1度の変更を試してみるかもしれません。
この記事によって皆さんの疑問が解決し、私たちの考え方と、現在取り組んでいることについて分かりやすく伝えられていることを願っています。さらに重要なのは、皆さんがこのゲームの明るい未来を期待できるようになることです。私たちも、このコミュニティ投票機能によって『グウェント』がどのように進化し続けるか、心から楽しみにしています。